官能と憂鬱

Bon jour!マドモアゼル

以前の日記に引き続き、電車での移動中に読書しまくってるアタイです。

現在は、菊地成孔氏の「官能と憂鬱を教えた学校」をゴシゴシ読み進めているわけなんですが、、、


うはぁー、そーゆーことやったんかぁ。。。


とアタイのつぶらな瞳から、ぼろりと角膜が落ちてしまう箇所続出。


米国はボストンにバークリー音楽院っていう現代ポピュラー音楽の理論を教える有名な音楽学校があるんですが、ここで教えられている音楽理論を「バークリーメソッド」といいます。
ま、今となってはこれが正統ジャズ理論とされているわけなんですが。

この「憂鬱と官能を教えた学校」は、要するにこのバークリーメソッドってのを、現在西洋(ていうよりずばりアメリカ)のポピュラー音楽=現代商業音楽をすげー効率よく定義・解釈・展開するために、バッハくらいから脈々とつながってきた楽理というものを、(音楽は平均律であることを大前提に!すっげー都合良い!))分りやすく記号化してしまえ!数値化してしまえ!
って作ったものですよ。って言い切っちゃって、それを理論の表から裏から説明した本です。
はぁ、一気に書いたら指つった!興味ある方、詳しくは書評をどうぞw。


思い起こせば10代の頃ジャズがやりたくて、そーだジャズは和声理論とか覚えなアカンねや、アドリブとかできひんし!と思って手に取ったのが、かの渡辺貞夫大先生(ナベサダだ!w)がお書きになった「ジャズスタディ」って有名な楽理本。
この本はバークリーメソッドを貞夫先生が日本に持ち帰って、広めるために書いた本なんですね。
(ちなみに貞夫先生は日本人で2人目にバークリーに留学した音楽家だそうです。一人目は秋吉敏子さん!)

和声を構成する音の説明から始まり、コードという概念、コード進行という概念とその法則性とルール、あるコード進行の上で旋律を展開していくための技法などがぐりぐりと書かれているんですが、最初読んだ時は


さっぱり分りませんでした・・・

(今でも全部分ってるわけではない・・・・・)


それからというもの、もう少し易しく書いたある本読んだり、まずは実践で先輩ミュージシャンに混じって演奏したり教えてもらったりしながら、なんとか意味だけはアタマに入れてきたんですが(いや、実際はちゃんと分ってないと思う。恥・・)、”とりあえずそーゆーもの”と割り切って覚えてきたので、そうなってる意味とか理屈とかはほったらかしにしてたんですね。

なんでダイアトニックのコードは

ⅠM7 Ⅱm7  Ⅲm7  ⅣM7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅶm7-5 

になるのか?なーんて意味すら考えずに覚えてたし、長調(メジャー)はそれぞれのキーに1種類しかないのに、なんで短調(マイナー)は3種類もあるのか?
なーんて、不思議だけどそーゆーもんだと思って、理由を考えたことなんてなかった。


けどね、、、

成孔さんは、そういった事をぐりぐり解明していってますね。
あ、解明っていうよりはアナライズか。

あー、ようやく分った。(遅いか。。。)

理由が分るということは、それに込められた意味が分るということで、これはアタイ的には今後の音楽理解や演奏にすごくインパクトなんです。



加えて興味深かったのは、バークリーでは「音韻」情報の取扱い方、のみを教えているということ。
音楽を構成するもう一つの重要な要素である「音響」情報については一切タッチしてないんですね。
音韻ていうのはつまり「この音はドですよ」という音楽を記号としてとらえている情報。
音響てのは、「この音は倍音成分が豊かですごく良い音」とかいう記号化できない情報。
つまりバークリーメソッドでは、音色とか唄い回しとかいう音楽の味わいの部分は完全にオミットして(あ、言い過ぎかも。バークリー行ったことないので適当にそう思ってるだけかもです)、記号化できる楽理要素のみを徹底的にメソドロジーに構築している点が、音楽学校としてはユニークですね。
すごくアメリカ的だし、すごく商業音楽的だ。